白色申告・青色申告(10万円控除)の帳簿のつけ方
確定申告では、1年間の「収入」と「経費」を計算して、所得を出します。そのもとになるのが帳簿です。白色申告でも帳簿づけと保存は義務ですが、むずかしい簿記の知識がなくてもつけられます。
- 帳簿が必要な人
- 帳簿に書くこと
- 白色・青色10万円・青色65万円のちがい
- 帳簿と書類の保存期間
- 帳簿をつけるメリット
1. 帳簿が必要な人
事業所得・不動産所得・山林所得がある人は、白色申告でも青色申告でも、記帳と帳簿・書類の保存が必要です。フリーランスや個人事業主はもちろん、副業でも事業所得として申告するなら同じです。
副業の収入を「雑所得(業務)」として申告する人も、収入と経費を計算するために記録は欠かせません。前々年の雑所得(業務)の収入が300万円を超える人は、領収書や通帳などの書類を5年間保存する義務があります(副業の確定申告)。
2. 帳簿に書くこと
取引ごとに、次の4つを書きます。
- 日付:お金を受け取った・払った日(売上は請求した日・納品した日が基本)
- 取引先・内容:「A社 1月分デザイン料」「ドコモ スマホ代」など
- 金額:消費税込みの金額(免税事業者や税込経理の場合)
- 勘定科目:売上・仕入・通信費・消耗品費など(勘定科目さがし)
白色申告では、一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額だけをまとめて書くなど、簡易な方法でもよいとされています。たとえば少額の現金売上は、1日の合計だけを書けば大丈夫です。
BOOTH・FANBOX・ココナラなどで売れたときは、振り込まれた金額ではなく、売れた金額(手数料を引く前)を売上にし、引かれた手数料は「支払手数料」として経費にします。源泉徴収された報酬も、引かれる前の金額が売上です(引かれた税額は確定申告で精算します)。
3. 白色・青色10万円・青色65万円のちがい
| 白色申告 | 青色申告(10万円控除) | 青色申告(65万円・55万円控除) | |
|---|---|---|---|
| 届け出 | 不要 | 青色申告承認申請書 | |
| 帳簿 | 簡易な記帳 | 簡易な帳簿(現金出納帳・経費帳など) | 複式簿記(仕訳帳・総勘定元帳) |
| 出す書類 | 収支内訳書 | 青色申告決算書(損益計算書) | 青色申告決算書(損益計算書+貸借対照表) |
| 特別控除 | なし | 10万円 | 65万円(e-Taxなど)/55万円 |
青色申告には、特別控除のほかにも、赤字を3年間くり越せる、少額減価償却資産の特例(2026年4月からは40万円未満)を使えるなどの特典があります。
令和8年度の税制改正で、2027年(令和9年)分以後の青色申告特別控除が見直されます。複式簿記で書面(紙)で提出する場合の55万円控除が10万円になるなどの変更が予定されています。2026年分の申告(2027年2〜3月)は、これまでどおりです。詳しくは国税庁の案内を確認してください。
4. 帳簿と書類の保存期間
| 保存するもの | 白色申告 | 青色申告 |
|---|---|---|
| 収入・経費を書いた帳簿 | 7年 | 7年 |
| そのほかの帳簿(任意の帳簿) | 5年 | — |
| 決算に関して作った棚卸表などの書類 | 5年 | 7年 |
| 領収書・通帳など(現金・預金の取引の書類) | 5年 | 7年(前々年の所得が300万円以下なら5年) |
| 請求書・納品書・見積書など | 5年 | 5年 |
保存期間は、確定申告の期限の翌日から数えます。メールやWebで受け取った請求書・領収書のデータは、電子帳簿保存法により、電子データのまま保存します(請求書PDFの保存方法)。
5. 帳簿をつけるメリット
- 経費を漏れなく入れられる:1年分をまとめて思い出すより、日々つけた方が漏れが減り、税金も正しく下がります。
- 事業所得と認められやすい:国税庁の解説では、副業などの所得の区分について、帳簿を記録・保存している場合は事業所得に区分される場合が多いとしています(帳簿書類の保存がなく、収入300万円以下なら原則として雑所得)。
- お金の流れが見える:月ごとの売上や、何にお金を使っているかがわかります。
取引を記帳するだけで、収支内訳書・青色申告決算書(10万円控除)・雑所得の数字が、書類と同じ並びでまとまります。カード・銀行の明細はCSVで取り込めます。買い切り・オフラインで、データは端末の中だけ。
出典:国税庁 タックスアンサー No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」、No.2072「青色申告特別控除」(令和8年4月1日現在法令等)、「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」、所得税基本通達35-2(令和4年10月7日改正)。2027年分からの見直しは令和8年度税制改正の内容です。
よくある質問
白色申告でも帳簿は必要ですか?
必要です。事業所得・不動産所得・山林所得がある人は、白色申告でも記帳と帳簿・書類の保存が義務です。ただし、日々の合計をまとめて書くなど、簡易な方法でよいとされています。
Excelやアプリの帳簿でもいいですか?
大丈夫です。紙のノートでも、Excelでも、アプリでも構いません。日付・取引先・内容・金額がわかり、1年分の収入と経費の合計を出せることが大切です。
レシートをなくしたら経費にできませんか?
支払った事実と内容が説明できれば、経費にできる場合があります。日付・支払先・金額・内容をメモし、カードの明細や通帳など支払いの記録と合わせて残しておきましょう。