3割特例とは?2割特例の終了後(2027・2028年)の消費税と手続き

更新日:2026年10月23日

インボイス登録をきっかけに課税事業者になった個人事業者は、2023年から「2割特例」で消費税を売上税額の2割に抑えられてきました。この2割特例は2026年(令和8年)分で終了します。令和8年度の税制改正で、その後の激変緩和として個人事業者だけが使える「3割特例」が2年間設けられました。

この記事のポイント
  • 2027年・2028年分は、納付税額を売上税額の3割にできる(個人事業者のみ)
  • 届出は不要。確定申告書に適用する旨を書くだけ
  • 2029年分からは簡易課税か本則課税。簡易課税の届出期限には特例あり

3割特例の概要

対象者免税事業者がインボイス発行事業者の登録をしたこと(または課税事業者選択届出書の提出)により課税事業者になった個人事業者
対象の年分令和9年(2027年)分・令和10年(2028年)分
納付税額売上税額 −(売上税額 × 70%)= 売上税額の3割
使えない場合基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超える年など
手続き事前の届出は不要。確定申告書に3割特例の適用を受ける旨を付記

計算例:税抜売上600万円のデザイナー(サービス業)

年分方法消費税(国税+地方)
2026年分2割特例約120,000円
2027年分3割特例約180,000円
2028年分3割特例約180,000円
2029年分〜簡易課税(第5種・みなし仕入率50%)約300,000円

売上税額は税抜売上の10%(国税7.8%+地方2.2%)なので、600万円なら60万円。2割特例はその20%で12万円、3割特例は30%で18万円、簡易課税(第5種)は50%で30万円です。あなたの売上・経費での金額は3割特例シミュレーターで計算できます。

簡易課税・本則課税との比較

3割特例は「みなし仕入率70%の簡易課税」と同じ計算になります。そのため、みなし仕入率が70%を超える卸売業(90%)・小売業(80%)は、簡易課税を選ぶほうが有利です。一方、サービス業(50%)・飲食店業(60%)・不動産業(40%)などは3割特例のほうが有利になるのが一般的です。設備投資などで経費の消費税が大きい年は、本則課税が有利になることもあります。

簡易課税に切り替えるときの届出期限の特例

簡易課税を使うには「簡易課税制度選択届出書」の提出が必要で、原則として適用したい年の前年中に出す必要があります。令和8年度改正で、2割特例・3割特例の適用を受けた年の翌年分の確定申告期限までに提出すれば、その翌年分から簡易課税を適用できるようになりました。

簡易課税は一度選ぶと原則2年間は継続して適用する必要があります。届出の判断に迷う場合は税理士や税務署に相談しましょう。

2029年以降に備えてやっておきたいこと

出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」、「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(令和8年4月、5月改訂)、「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」

よくある質問

3割特例は法人も使えますか?

使えません。3割特例は個人事業者だけの制度です。法人の2割特例は、令和8年9月30日を含む課税期間で終了します。

2026年分の確定申告は2割特例と3割特例のどちら?

2026年(令和8年)分は2割特例です。3割特例は2027年(令和9年)分と2028年(令和10年)分の申告で使えます。

売上が増えて1,000万円を超えたら?

3割特例は、その年の2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下であることが条件です。例えば2025年の課税売上高が1,000万円を超えていれば、2027年分は3割特例を使えません。