食料品の消費税1%(2027年4月〜)請求書・領収書の書き方
飲食料品の消費税率を引き下げる法案は2026年10月に国会へ提出され、政府は12月12日までの今の国会での成立を目指しています。このページの内容は、国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月)にもとづく、法案が成立した場合の取り扱いです。
- 2027年4月1日〜2029年3月31日の2年間、飲食料品の消費税は1%(国0.78%+地方0.22%)
- 対象は今の軽減税率8%の飲食料品と同じ。外食・酒類は10%、新聞の定期購読は8%のまま
- 請求書は「適用税率が1%」「消費税額が1%で計算」になるだけで、ほかの記載事項は同じ
- 2割特例・3割特例・簡易課税では、1%分の売上税額と同額を控除するため、食品分の納税は実質ゼロ
いつの取引から1%になる?
| 飲食料品を売った日 | 税率 |
|---|---|
| 2027年3月31日まで | 8% |
| 2027年4月1日〜2029年3月31日 | 1% |
| 2029年4月1日から | 8% |
- 売った日(引き渡した日)で決まります。3月中に結んだ契約でも、4月1日以後に引き渡せば原則1%です。
- 3月31日以前に仕入れた飲食料品は、売るのが4月以後でも仕入れ側は8%で計算します。
- 3月31日以前に売った商品が4月以後に返品されたときや、売掛金が貸倒れになったときは、8%で調整します。
- 買い手は、売り手の請求書に書かれた税率で仕入税額控除をします。
請求書・領収書の書き方
インボイス(適格請求書)の記載事項は変わりません。1%の飲食料品は、適用税率を「1%」とし、消費税額を1%で計算します。「※軽減税率対象」の印を付けていれば、「1%対象」と別に書く必要はありません。
| 品目 | 金額(税抜) |
|---|---|
| 魚 ※ | 40,000円 |
| タオルセット | 10,000円 |
| 1%対象 40,000円 消費税 400円 10%対象 10,000円 消費税 1,000円 | 合計 51,400円 |
※ は軽減税率対象
3月分と4月分が混ざる請求書
月の途中で締める請求書(例:3月16日〜4月15日分)では、3月までの8%と4月からの1%の飲食料品が混ざります。次のどちらかで作ります。
- 請求書を分ける:3月31日までの分と4月1日からの分で別の請求書にする
- 1枚で区分する:合計欄に「1%対象」「8%対象」「10%対象」を並べ、それぞれの消費税額を書く
| 区分 | 対象金額(税抜) | 消費税 |
|---|---|---|
| 1%対象 | 20,000円 | 200円 |
| 8%対象 | 40,000円 | 3,200円 |
| 10%対象 | 50,000円 | 5,000円 |
| 合計 | 110,000円 | 8,400円 |
ひとり請求書では、明細ごとに「10%」「8%軽減」「1%軽減」を選ぶだけで、この区分と税額を自動で作ります(端数処理は税率ごとに1回)。
8%のままになる取引(経過措置)
4月1日以後に引き渡す飲食料品でも、次の取引は8%のままです(選択ではなく自動で8%になります)。
- 定期供給契約:2027年1月1日より前に結んだ定期便などの契約で、4月1日より前に代金を受け取っている分
- 通信販売:2027年1月1日より前にカタログ等で販売条件を示し、4月1日より前に申込みを受けた分
ただし、契約や販売条件で「4月1日以後は1%で販売」と定めている場合や、1月1日以後に契約金額を変更した場合は1%になります。
消費税の申告への影響
簡易課税・2割特例・3割特例
業種にかかわらず、飲食料品(1%)の売上税額と同じ額を仕入税額として控除します。つまり食品の売上にかかる消費税は差し引きゼロになり、そのほかの売上にだけ、みなし仕入率(2割特例・3割特例はそれぞれ8割・7割)を使って計算します。還付にはなりません。
国税庁の例:飲食料品の小売2,000万円(1%・税20万円)、雑貨の小売300万円(税30万円)、イートイン100万円(税10万円)の場合、仕入控除税額は 20万円+30万円×80%+10万円×60%=50万円、納付税額は10万円です。
本則課税なら還付になることも
売上は1%なのに、包材・家賃・設備などの経費は10%のままなので、本則課税(一般課税)では消費税が還付される場合があります。そのための届出に特例が設けられます。
- 免税事業者:2027年4月1日を含む課税期間中に「消費税課税事業者選択届出書」(参考事項欄に「飲食料品特例」)を出せば、その期間から課税事業者になれます。インボイス登録(登録希望日を2027年4月1日にするなら3月17日までに申請)で4月から課税事業者になる方法もあります。
- 簡易課税の事業者:2027年4月1日を含む課税期間中に「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」(参考事項欄に「飲食料品特例」)を出せば、その期間から本則課税で申告できます。簡易課税の「2年間はやめられない」決まりも、この期間は適用されません。
課税事業者を選ぶと原則2年間は免税事業者に戻れないなどの注意点もあるため、届出の前に税理士や税務署に相談してください。
値札(総額表示)の特例
値札の貼り替えがすぐにできない事情がある場合は、誤認を防ぐ掲示などをしていることを条件に、2027年2月1日〜3月31日は1%での税込価格、4月1日〜5月31日は8%での税込価格を表示しておくことが認められます。税抜価格だけの表示は引き続き認められません。
出典:国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月)、「消費税率引下げ特設サイト」
よくある質問
請求書に「1%対象」と書く必要はありますか?
「※は軽減税率対象」のように軽減税率の対象品目である旨を書いていれば、別に「税率1%の対象品目である旨」を書く必要はありません。税率ごとの合計欄に「1%対象」と適用税率を書き、消費税額を1%で計算します。
外食・テイクアウト・お酒は何%になりますか?
外食(店内飲食)・ケータリング・酒類は10%のままです。テイクアウトや出前・宅配は飲食料品の譲渡なので1%になります。対象範囲は、2027年3月31日まで8%だった飲食料品と同じです。
新聞は1%になりますか?
なりません。週2回以上発行される新聞の定期購読は8%のままです。
2029年4月以降はどうなりますか?
2029年4月1日以後の飲食料品の譲渡は8%に戻ります。値札の総額表示には、戻るときにも特例が設けられる予定です。
法案が成立しなかったら?
飲食料品は8%のままです。このページは、2026年9月15日に閣議決定された大綱と国税庁のQ&A(法案が可決・成立した場合の内容)をもとにしています。